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ワールドグルーミングセミナー取材レポート

カテゴリ : 
レポート
執筆 : 
staff 2016/11/10 12:40 閲覧 (16207)


2016年10月24日、東京港区虎ノ門「発明会館」にて株式会社プラック主催/株式会社UTSUMI「ワールドグルーミングセミナー」が開催されましたのでレポートします。


このセミナーは、日本に居ながら海外で活躍する世界トップクラスの講演を聴くことができ、グルーマーとしての基礎知識や応用技術など実演を交えて(通訳付き)受講できる素晴らしいセミナーです。 



セミナーの内容に入る前にMCの紹介です。
このセミナーは、海外の講師が英語で解説をされるので、手の動きを目で追うことはできても、そのグルーマーの解説(つまり英語)がわからないと学べる内容が少なくなってしまいます。その点、このセミナーは通訳の方がいるので英語がわからない人でも安心して参加することができます。今回の通訳はトリミングサロン「チロのアトリエ」オーナートリマー 生井沢 里美さんでした。ご自身もトリマーとして日本だけでなく海外のコンテストでも活躍されているので、とてもスムーズで違和感の無い通訳でした。

第一部 ビションフリーゼ





さて、第一部は「グルーミング世界大会審査員から学ぶ!!」と題してOlga Zabeliskaya(以下オルガさん)による実演です。昨年も講師を務められたオルガさんは「ビションフリーゼ」を最も得意とされています。世界大会の審査員でもあるオルガさんがカットする「世界基準のスタイル」に注目が集まります。



今回の実演はビションフリーゼの「ショークリップ」です。
カットの際に気を付けるポイントなど、焦点をFCIのスタンダードに置き解説されていきます。



座骨端の角度や飛節の作り方、アンギレーションやアンダーライン、頭・顔の作り方などまずはビションフリーゼをカットするうえでの全体的な流れの解説から始まり、徐々にシザーをつかった解説へと移行していきます。

“家を建てるようなカット方法、まず土台(下地)の部分を作ってからカットしきます。”

という言葉が印象的でした。まずは背線→お尻→前胸の順に“土台”を完成させていきます。



手元に見えるのは「MODERN STYLES」というオルガさん雑誌です。ビションフリーゼだけでなく、バラエティに富んだ犬種のスタイルが紹介されています。付属DVDでは彼女目線で設置したカメラで撮影したカット動画が見られるそうです。



完成です。セミナーでは、ボディーラインのつなぎ方、顔のアーチの作り方などを丁寧に解説されていましたが、顔のカットの際はかなり時間が割かれていた印象です。
オルガさんの最後の一言


犬のカットするときは、必ず「犬の本来の目的」を意識してください。ガンドッグとかスポーティングドッグとかではなく、この犬種は柔らかみがあって、人に触れ合ったりすると優しい表情をする犬なので、シザーの使い方も丸みを帯びるように意識してください。”

※左の方は、今回のイベントを主催された株式会社プラックの玉川社長です。

第二部 パピークリップ





第2部は、スウェーデンから Mikael Nilsson(ミカエルさん)の登場です。日本では初セミナーとなるそうです。ドッグショーの世界では名実ともに“世界一”といわれ、驚異の経歴をもつミカエルさん。上級グルーマーさんのお手本にもなっています。そんなミカエルさんとライバルでもあり親友でもあるSMASH犬舎の大村講師とのパピークリップ(セカンドパピー)とスカンジナビアン(テリアスタイル)の共同実演です。まぁすごいコラボです。

大村さんの講演は、カットはもちろんですが、世界中のドッグショーで活躍されている経験をもとにした貴重な話をたくさん聴けるので、いつも楽しみにしているのですが、今回はどんなお話が聴けるでしょうか。。



ミカエルさんは、グルーマーであり審査員であり、プードルのブリーダーでもあります。「プードルは本来どうのようにすることで美しくできるか・・を普段から心がけ、そして大切にしている」というミカエルさん。最初のあいさつでも「プードルの美しさ、エレガントなプードルを見せたい。そして自分のプードルに対する情熱や生き方も見られたらと思います」と仰っていました。




SMASH大村さんの挨拶では「アウトラインはミカエルさんに、自分は“仕上げ”をやっていくが、ここ数年は海外の人の方がシザーワークも上手なので、とくにミケのシザーやコームの使い方、カットしていくラインなど、細かい点を見てもらいたい。カットに関しても『ここが何センチ』とかはなく、犬に合わせてカットしていく動きを見てほしい」とのこと。


お二人の息はぴったり。お互いのカットに関してはほとんど会話することはありませんでしたが、同じスタイルに向かって手が動いているのがよくわかります。
ドッグショーの会場では、一緒にカットすることもあるそうなのでさすがのコンビネーションです。




パピークリップ(セカンドパピー)の完成です。


第三部 スカンジナビアクリップ



つづいて、スカンジナビアンクリップです。



パーツごとに作っていくのではなく、必要なポイントポイントを取っていき、全体を作っていきます。
この時、モデル犬の骨格構成をしっかり理解しておく必要があるとミカエルさん。

このクリップは、海外のコンテストではよく見かけるクリップですよね。スタンダードプードルはほとんどこのクリップのような気がします。ブラックやアプリコット・レッドに似合うスタイルで、首がしっかり長くあって、トップラインのバランス良い犬によく似合うそうです。



ミカエルさんのお話では、このモデル犬はとても毛が多かったので、背線の部分はとくに短くカットし、ネックを長く見せるように工夫したそうです。
ネックラインからバックラインはなめらかな線でつなげていき、ネックの前側はとても短くし、側面もしっかり短く詰めて長く見えるようにカットしてきます。



世界中のドッグショータイトルを総なめにしているお二人。
2002年のワールドショーでミカエルさんがベストインショーを受賞されたのを皮切りに、2007年、2010年に大村さんが受賞し、それからも勝ちまくった結果、15年で7回で9グループリーダー(1席)をプードルで取っているそうです。タイトルの半分を2人で獲得されているという事になりますね。凄すぎます!

オルガさん、ミカエルさん、そして大村さん・・日本でこんな凄いメンバーのセミナーを聴けるのは、今のところこのセミナーだけではないでしょうか。
内容の濃い話を沢山聞けましたが、多すぎてここでは書ききれません(汗)
次回開催もきっと素晴らしい講師の方のお話が聴けると思います。
ワールドクラスのお話を聴いてみたい方、ぜひ参加してみてください!

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