2018年6月26日、東京都台東区の浅草エリールにて「第3回 PET-SPA ハッピートリミングコンテスト」が開催されました。このコンテストでは、株式会社西武ペットケアに所属する総勢150名のトリマーの中から、10名が出場し技術を競いました。その様子をお伝えします。
はじめに開会式の様子です。開会式では、コンテストのスケジュールの説明、審査員の紹介がありました。
審査員は、「SOUP*SPOON」オーナートリマーの小島麻里さんです。小島さんからは審査の基準として、
・トリマーの態度:(テーブルの上の毛を吹かない、両手で道具を持たない等)
・自分本位にならないトリミング:(犬へ負担をかけていないかどうか)
・スタイル:(一般の方からも選んでもらえる、「おうちにいたらいいなぁ」と思っていただけるカット)
・道具の扱い方やメンテナンスの状況:(コームが曲がっていないか等
・犬の正しい扱い方:(犬から手をはなさない、立たせ方、見せ方、マズルの持ち方など)
等のお話がありました。技術に関してはデザイン性だけではなく、細部の処理も細かく審査されるとのこと。
開会式の後は、競技前の犬体チェックです。審査員の小島さんが出場者のテーブルを1つずつ回り、今回出場するモデル犬の状態をチェックします。
コンテスト開始前には、出場者がモデル犬とコミュニケーションをとる姿が見られました。モデル犬と良い関係、良い雰囲気が作れているように見えました!
カットの制限時間は90分。競技がスタートすると皆さん一斉にボディーのクリッピングから開始です。
コンテストについて
ところで「ハッピートリミングコンテスト」はどういうコンテストなのでしょうか。
見た感じ、カットスタイルはデザインカットですよね。
カット条件を担当者に尋ねてみると
・飼い主様目線の『かわいい』スタイルであること
・家に帰ってからも崩れず維持できるスタイルであること
といった条件があるそうです。
皆さん、どのような「かわいい」スタイルを作りあげるのか楽しみですね!
ちなみにカラーリングやスプレー、装飾は一切無しだそうです。カットのみでモデル犬の個性や「かわいい」を表現します。
黙々とカットを進めていきます。モデル犬は出場者が得意とする犬種なのだそうです。
主に、トイプードルやビションフリーゼなどのフワフワとした被毛のモデル犬が多かったです。
皆さんの真剣な表情や笑顔でカットをする姿、スムーズにカット進めている姿がとても素敵でした!
男性トリマーの姿も・・・緑園都市店の桶田伸吾さんです。頭部から背線にかけてはモヒカンスタイル、ボディには「波」の模様があり、ワイルドでお洒落でした。夏にピッタリなデザインですね。桶田さんはトリマー歴1年3ヶ月。ベテラントリマーが多い中での出場でした。社外イベントにも積極的に参加するなど、何に対しても意欲的で頑張り屋な性格なのだそうです。
審査
90分のカット時間が終わり、審査員の小島さんが出場者のテーブルを一つずつ回り審査をします。
犬の立ち方や見せ方も審査のポイントとなります。
審査の途中で小島さんが色々と質問をバシバシ投げかけてきます。(これもなかなか鋭い質問ばかり)
おもしろいな~と思ったのは「その犬種を意識したものになっているかどうか」という質問。例えば上記の写真だと、デザイン面の質問した後に
Q:スコッチをどの部分で意識しましたか?
え?デザインカットなのに・・スタンダードっぽい質問!?と思ってしまうところですが、例えデザインカットであっても、その犬種特有の個性はちゃんと引き立ててあげなければならない・・という小島さんのこだわりに違いありません。(推測)
A:この子は、目がクリっと大きくかわいらしいので、目の上の毛はもっと短くカットしてあげてもよかったが、やはり目の上の毛はスコッチの特徴でもあるので、あえてこの長さで表現しました。
と、躊躇することなくサラっと返答してしまうのが、さすがPET-SPA全トリマーの中で指名数No.1の伊勢丹相模原店の五十嵐さんです。ちなみに年間800件以上の指名数らしいです。(凄!)
審査が終わり、結果発表までの時間は出場者同士で会話をしたり、モデル犬と遊んだりと和やかなムードでした。
モデルのわんちゃんもコンテストが終わり、ひとやすみしている様子
結果発表
1位、2位は小島さんの審査により決定します。更に、当日お越しいただいたトリマー以外の方の投票により「ギャラリー賞」も決定します。
かなり細かいところまで厳しく審査されていたので、集計にも時間がかかっていました。
小島さん曰く「私のお店・私のスタッフだったらどう審査するか・・という視点で審査した」
それは厳しくなりますね(汗)
総評でまず最初に指摘があったのは「犬を自由にしすぎ」という点。
テーブルの上ではしっかりと正しく立たせて、無駄な動きをさせないことが大事。いちいちやり直すことも無くなるし、ロスタイムも減る=犬も無駄に体力を消耗しないで済む。
そのためには犬をしっかりと立たせるテクニックを磨く必要があるし、自分がカットしたいと思った場所へ動かなくてはダメ。(=犬を動かすのはNG)とのこと。
これは開会式で小嶋さんがおっしゃっていた「自分本位のトリミングになっていないか」という審査基準そのものですね。
その他、道具の扱いやトリマーとしてのふるまい方のお話がありました。
それではいよいよ審査発表です。
まずはじめに、ギャラリー賞に輝いたのは....!
あざみ野ガーデンズの店長 辻 麻里子さんです。昨年のコンテストで優勝された実力者です。辻さんは現在、妊娠中で、もうすぐ産休に入られるそうですが、フワッフワに伸びたビションを見事にカットされていました。
※ちなみに左の男性は株式会社西武ペットケアの田中社長
モデルのワンちゃんは愛嬌たっぷりで、出場者や会場に来ていた方にとても可愛がられていました!
次に2位の輝いたのは...!
4&2経堂店の店長、照屋 杏紗さんです。照屋さんが店長となってからは、売上も更に好調なのだとか。技術はもちろん、リーダーシップも兼ね備えたトリマーさんなのだそうです。
恐竜カットでお手入れもしやすく、今回のテーマでもあった「かわいい」も兼ね備えていますね!
栄えある1位に輝いたのは...!
石神井公園店の横井 史絵さんです。カット中に時折微笑む姿が印象に残っています!石神井公園店は、昨年のコンテストでは特別賞を受賞。横井さんはトリミング技術だけでなくカメラ技術も高いのだそうです!
犬種はプードルですが、ビションカットのような丸いカットが可愛いです!
小島さんによる講義
結果発表後、審査員の小島さんから出場者が完成させたスタイルを更に良い仕上がりにするためのポイントが解説されました。
小島さんは、自分の経験も交えながらわかりやすくアドバイスしました。また、出場者からの質問にも丁寧に回答されていました。
一頭一頭丁寧にアドバイスしてくれ、しかも実際に小島さんがカットしてお手本まで見せてくれるなんて・・普通のコンテストではありえません。出場者にとっては、とてもスペシャルな時間になったに違いありません。
閉会式では田中社長のコメントがありました。
PET-SPAで新たに掲げているビジョン、「ペットと人に世界一やさしい会社」
そして、スローガンとなっている、「わたしのやさしさで、あなたをhappyに。」についてお話がありました。言葉の伝わらないわんちゃんに、トリマーがやさしさを伝えるのに大事なのは「技術」なのだとか。
今回出場された10名のトリマーさんに、「小島さんからお話しいただいた具体的なアドバイスも含め、新たなビジョンと合わせて「技術」の大切さを皆さんからPET-SPAのトリマー1人1人に伝えていってほしい。」とお話されていました。
田中社長はカット開始前やカット終了後などの合間の時間に出場者の方たちと楽しそうに話す様子もみられました。
1位を受賞した横井さんは、株式会社ハートランドの京翠シリーズのシザー1本が賞品として与えられました。どのタイプも一本10万円を下らない高級シザーだそうです!
PET-SPAの皆様、取材させていただきありがとうございました。
出場された皆様の個性的なカットのデザインに魅了されました!PET-SPAのコンセプトに、「華美さやクールさではなく、ナチュラルなやさしさを追及する(一部抜粋)」とありますが、個性もありつつ、更にナチュラルなスタイルで生活のしやすさを考えたカット、という感じがしました。次回の「ハッピートリミングコンテスト」ではどのような個性的なカットがみれるのか楽しみですね!