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「動物病院 &トリミングサロン向け ハッピー経営のための応援ブログ」

投稿日時 : 2025-01-19 10:27:03 (26 ヒット)


トリミングサロンとして事業展開するにしろ、動物病院併設のトリミング部門として展開するにしろ、経営者は、事業が永続するように経営しなければなりません。

事業が永続するかどうかは、いろんな要素が絡んでおります。立地の良さ、技術力の高さ、接遇の良し悪し、いろいろありますが、今のご時世、とくに重要な要素があります。それは、トリミングの料金が相場と比べて適正かどうかです。

世の中は値上げラッシュです。とくに、人件費としての最低賃金が上昇しています。最低賃金の全国加重平均は2023年で1004円でした。2024年10月からは1054円に上がっています。近年では水道光熱費も上昇していますし、このような値上げラッシュのご時世に、旧態依然とした料金設定を放置していては、トリミングビジネスは適切な利益が確保できません。

今のご時世、トリミング料金を決める方法(プライシング)を見直す必要があるでしょう。料金が相場と比べて適正かどうかが重要なのですが、この場合の相場とは、地域のトリミング料金の相場ではありません。所要時間に見合ったレバレートの相場のことを指します。レバレートが適正な相場で料金設定されていなければ、トリミングサロンはなかなか永続しにくいでしょう。

では、レバレートとはどのように考えて、どう料金設定に反映させればよいのでしょう。
レバレートとは、時間当たりいくら頂けば妥当なのかという料金の目安です。例えば、今どきのサービス業というのは、10分で1350円〜1400円程度がレバレートの目安です。それくらいいただかないと、経営が成り立ちません。

身近で分かりやすい例を挙げると、10分で散髪してくれるサービス。「QBハウス」さん等が好例です。駅や商業施設のお手洗いの傍によく出店していらっしゃいますので、ご存知のことと思います。彼らの料金は、2025年1月の時点では、10分で1350円です。創業当時の1990年代は、10分1000円を謳い文句にしていましたが、消費税UPや最低賃金の上昇に伴い、ジリジリと値上げされています。そして、2025年2月からは1400円に上がります
(ただし、前回から1か月以内のご利用の場合は全員1300円になりますので、懐柔策を併用しつつの値上げです)。このレバレート(10分1400円程度)は、他社・他業界でも概ね該当し、リフレクソロジーや、リラクゼーションサービスなど、今どきのほとんどのサービス業に当てはまります。

それでは、トリミングのレバレートというのはどんな状況でしょう。これがかなり低いままのサロンが多いです。実際に検証してみます。トリミング料金は、犬種やカット内容、地域によってまちまちですが、例えばトイプードル(シャンプー&カット)であれば、仮に5000円〜10000円だったとして検証してみましょうか。そして、施術の所要時間は、ベテランならオールシザーで2時間(120分)以内、新人なら3時間(180分)として検証してみます。
この金額と所要時間でいくと、10分あたりのレバレートは、ベテランが10000円頂くとしたら10000円÷12(120分)=833円。新人が5000円頂くとしたら5000円÷18(180分)=278円です。

いかがでしょう。上記で述べたように、今どきの人間向けサービス業でのレバレートの目安は10分1400円程度です。そのレバレートと比較すると、トリミングはありえない位の低額です。ベテランが10000円頂いてレバレート833円というのは、今どきの人間向けサービス業のレバレート1400円の4割引に相当します。そして、新人が5000円頂いてレバレート278円というのは、今どきの人間向けサービス業のレバレート1400円の8割引に相当します。トリマーさんが、素晴らしい技術と素晴らしい接遇で健気に頑張っても、経営者が4割〜8割も安売りした料金設定で経営してしまったら、商売として永続させるのは厳しいです。毎日が「閉店売り尽くしセール」並みの大安売りです。お客さんは喜びますが、お店は経営できません。そう思いませんか?

また、トリミングは、犬(猫)の被毛を清潔に保ち、かわいらしく仕上げるサービスです。その仕上がりをお客さんに喜んでいただくのがトリマーさんのモティベーションでしょう。しかし、レバレートを無視して過剰に時間を遣い、例えば延々とチッピングに時間投入してしまうと、よかれと思った行動が、自分たちの首を絞めることになってしまうでしょう。レバレートが低下するだけでなく、動物も長時間立ったままでは負担ですよね。思い当たる節はありませんか?

やはり、トリミングの料金も、人間のサービス業並みの1400円程度のレバレートで考えなくては、なかなか割に合いません。そして、時間管理の意識を高めなければなりません。

仮にトイプードルのトリミングを2時間(120分)で仕上げる前提で考えると、1400円×12=16800円。これが本来の適切な計算をした料金になります。

ただ、消費者というのは自分勝手なものです。「うちの子は家族の一員だから、大事なの。できるだけ可愛く仕上げてちょうだい。」と、あれこれリクエストします。では、上記の計算で16800円になりますというと、「え!?犬にそこまで出せません」と、反射的に掌(てのひら)を返したりします。「お客様、先ほど家族の一員とおっしゃいましたよね?リクエストは人間並みに、でもお支払いは人間未満って、どういうことでしょうか?」というジレンマをグッと堪えながら、サロン側でも「東京の港区でさえ、そこまで高くはないし…」と考え、自己犠牲の精神で、5000円〜10000円(地域による)の設定にしてしまっているのが実情ではないでしょうか。要するに技術の安売りをしてしまっている可能性が高いのですが、思い当たる節はありませんか?

この構図を、もうそろそろゲームチェンジしなければなりません。


では、どのように料金設定して、ゲームチェンジすればよいのでしょうか。それは、レバレートを意識しつつ、顧客の要望に合わせて品質をアレンジし、料金表に適切なバリエーションを持たせて、客離れすることなく適正化(値上げ)することでしょう。

まず、例えば「オールシザーで可愛く仕上げて欲しい」客層であれば、所要時間が120分とすると、1400円×12=16800円。先ほど既に述べたように、シンプルな話です。本当に品質が良く、数週間経ってもザンバラにならない、満足度の高いトリミングであれば、それに見合った料金を付けてよいと思います。あえて「高嶺の花」的に高い料金を載せるのは、マーケティングのセオリーです。人間のヘアーサロンでも、腕のいいスタイリストは、カット&カラー&トリートメント等で1万円台後半はザラです。

次に、例えば「シャンプーもカットもトリマーさんにやってもらい、お値段をお値打ちにして欲しい」という客層のためには、カーブシザーやブレンダーシザーやバリカン&アタッチメントでなるべくスピーディにトリミングを実施し、(地域によりますが)7000円〜10000円程度を頂く感じです。所要時間は、7000円であれば7000円÷1400円=5ですから50分で施術すればOKです。10000円であれば10000円÷1400円=7.1ですから71分で施術すればOKです。

そして、例えば「できれば価格優先で、5000円でトリミングして欲しい」という客層であれば、「バリカン仕上げ(顔だけハサミ)になりますよ、シャンプーはご自身で、自宅で済ませてきてくださいね。もしも被毛に砂があったら大事な商売道具が刃こぼれしてしまいますので、申しわけないですがお断りしますよ」という条件を付けます。そのうえで、5000円÷1400円=3.6ですから、36分で施術すればレバレートはOKです。このようなサービスは一見すると薄情なサービスかもしれません。しかし、それでも安さを求める客層は存在します。人間だって、QBハウスさんでそういったサービスに大衆が行列しているのが現実です。

さらに、例えば「いやー、生活が苦しいのでとにかく安く」という客層であれば、「ご自宅で、自分でやってあげてくださいね。ただ、爪切りや肛門腺絞り等はなかなか自己流では難しいと思いますので、お連れ頂ければ対応しますよ」という形で、ベーシック(爪、耳、肛門腺の3点セット)を10分で対応し、1400円を頂戴すれば、レバレートはOKです。生活防衛意識の高い客層にも、合理的に寄り添えます。ただし、トリマー目線では、トリミング中に上記3点セットのお客さんが五月雨(さみだれ)式に来店されると、現場がバタバタしてしまうかもしれませんので、上記3点セットも予約制にして、任意の時間にまとまって来店されるように交通整理すると、生産性が向上すると思います。

これだけのバリエーションがあれば、価格設定を根本的にリセットする上で、アレンジのしようがあるのではないでしょうか。このメニュー展開(品揃え)は、要するに、客層別個別対応です。

犬種ごとに多少違ってくるかと思いますが、例えばトイプードルの料金を整理してみると、
【デラックス料金】16800円でオールシザートリミング。
【スタンダード料金】7000〜10000円でスピーディなトリミング。
【エコノミー料金】5000円でシャンプーはセルフ、バリカン仕上げ、顔だけハサミ。
【スーパーエコノミー料金】1400円で爪・耳・肛門腺のベーシック3点セット。
というメニュー展開(案)です。商圏内のお客様にどのメニューがフィットするのか、どのようにアレンジすれば大正解なのかは、現場で検討していただければ幸いです。

レバレートだけを意識したら【デラックス料金】への値上げ一辺倒になりかねませんが、客層別個別対応で上手にリセットできたら、客離れを回避しつつ、ゲームチェンジができるのではないでしょうか。メニュー展開(品揃え)の中から選択するのはお客さんですから、料金に対する納得度は上がりますし、サロン側も技術の安売りを回避しやすくなります。

繰り返しますが、トリミングサロンやトリミング部門を永続化したいのであれば、まずは料金設定(プライシング)が肝心です。そのうえで、時間管理の意識を高めていくことが肝要でしょう。値上げラッシュの今のご時世は、ゲームチェンジするために絶好のチャンスととらえ、ますます上手にご繁盛されることをお祈りします。

【まとめ】
・トリミングはレバレートを考慮する。
・今のご時世のサービス業は10分1400円程度が基本。
・料金表を適切にアレンジし、客離れすることなく適正化(値上げ)する。
・時間管理の意識を高めるのが肝要。

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株式会社フクノカミ Fukunokami Consulting Inc.
〜 中小企業が100年繁盛するために 〜
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著者紹介
株式会社フクノカミ
代表取締役 金子男也

経営コンサルタント
1967年生まれ。静岡県出身。関西在住。

世界で初めて株式上場した国内最大級のコンサルティング会社にて、 動物病院やトリミングサロンなどのペット関連事業に専門特化して 20年以上勤務し、円満退社。 その後、株式会社フクノカミを創業。 動物病院やトリミングサロンなどの中小企業が 100年繁盛する仕組みづくりのサポートを展開中。 マーケティング、マネジメントから事業承継まで、 一気通貫で中小企業の経営課題に対応。

公式HP :https://fmcf.co.jp/

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