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ブログ > 動物病院 & トリミングサロン向け 〜ハッピー経営のための応援ブログ〜 > 経営 > (6)中小企業が100年続きますように(事業承継の総論)

「動物病院 &トリミングサロン向け ハッピー経営のための応援ブログ」

投稿日時 : 2025-06-05 10:15:08 (194 ヒット)


中小企業白書によると、日本の企業の廃業率を示す指標があるようです。過去40年(1983年〜2022年)の平均値は3.8%です。毎年3.8%の企業が廃業すると考えれば、100%‐3.8%=96.2%ですから、企業の1年後の生存率は96.2%です。これに96.2%を年数分乗じて計算すれば、5年後は82.4%10年後は67.9%20年後は46.1%30年後は31.3%50年後は14.4%100年後は2.1%の生存率になります。

東京商工リサーチの調査(2016年)によると、中小企業の廃業理由は
(1)業績が厳しい、
(2)後継者を確保できない、
(3)会社に将来性がない、が挙げられていました。

日本政策金融公庫の調査(2023年)によると、中小企業のうち後継者が決定している企業は10.5%にとどまり、57.4%の企業が廃業を予定しているそうです。
廃業理由は
(1)そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない、
(2)後継者難、
(3)事業に将来性がない、が挙げられています。

いずれの調査にも共通する廃業理由は、後継者の問題です。

現役バリバリの経営者にしてみたら、「うちにはまだまだ先の話だよ」とお考えになるかもしれませんが、ご留意頂きたいというか、自問自答して頂きたいのが、経営者としての志(ロマン)損得勘定(ソロバン)です。

志(ロマン)とは、事業をどのようにしていきたいかという未来への青写真です。そのスケールの大きさによっては、何十年も先を見据えて事業計画を構築する必要があります。事業計画のスケールの大きさを相撲の番付に例えて整理すると、例えば以下のような分類になります。
【前頭】趣味でやっているので”どんぶり勘定”気味なんだよねー
【小結】今期もしっかり黒字で決算を迎えるぞー
【関脇】お客様や患者様に喜んでほしいから毎年進化しよう
【大関】10年以内に地域の皆様や業界に認められて大繁盛します
【横綱】30年→50年→100年と末永く世の中に貢献するために、
    世代を超えて、お天道様に恥じない経営をする所存です
この番付表のように、事業計画のスケール、即ち 志(ロマン)はピンキリです。
「何十年後も存続?そんな大それたこと、とてもとても」と消極的に考えるのか、「上手にバトンタッチし、末永く世の中に貢献するぞ!」と積極的に考えるのかは、経営者の人生観次第ですが、せっかく経営者が心血注いだ事業ですから、企業が永続することを考えておくのが経営者の(最終的な)大仕事です。

続いて、損得勘定(ソロバン)の話です。事業のバトンタッチは、何年も前からイメージしておかないと、切羽詰まってからでは判断ミスをしてしまいます。また、バトンタッチには想定外のことが頻繁に起こるものです。この判断ミスや想定外の出来事で被る損失は、莫大な金額になります。悔やみきれないほどの大きな損をしてしまわないように、早い段階から検討しておくのが肝要です。

志(ロマン)損得勘定(ソロバン)を考慮し、経営者が会社を適切にバトンタッチするためには、どのような選択肢があるのでしょうか。いろんな承継パターンが考えられますので、与件を整理して、ざっと検証してみましょう。

1)まず、血縁者に優秀な後継者がいるケースであれば、然るべきタイミングでバトンタッチします。バトンタッチがあまり早すぎても先々心配ですが、そうかといっていつまでも会社に君臨してしまっては弊害が出てしまいます。可能であれば、第三者を交えて、早めに帝王学を後継者に学ばせておくのが賢明です。老舗企業では、血縁者に優秀な後継者がいる場合は、小中学生のころから「事業を継ぐということ」を学ばせるものです。かの近江商人は、息子が小学校を卒業すると、鍋蓋売りをさせました。てんびん棒を担いで鍋蓋の行商をさせることで、「商いとは?」「跡を継ぐとは?」を学ばせたそうです。

2)次に、血縁者に後継者が不在で、従業員にバトンタッチMBO)するケースもありえます。この場合のポイントは、その従業員が評価価額の株式を買い取るための資金調達方法です。その従業員は基本的にサラリーマンという立場ですから、一般的には、潤沢なキャッシュを個人で調達できるかというと、なかなか難しいでしょう。そうかといって、その従業員のために安価に譲渡価額を下げてしまっては、経営者(売手)の残りの人生の軍資金が欠乏してしまいます。では、そういうケースはどうやって従業員が資金調達すればよいのでしょう。それは、持ち株会社を立ち上げて、その従業員に代表者として就任していただくことです。その持ち株会社への融資であれば、金融機関は応じてくれます。ただし、譲渡価額の調整など、デリケートな問題があります。相続税法上の評価価額で実情よりも安く値付けされてしまったら、経営者は大損しますので、金融機関任せにするのではなく、しかるべきアドバイザーに取り仕切ってもらうのが賢明です。少しでも良い条件で事業承継(MBO)するのであれば、税務会計だけではなく、財務会計管理会計も併用し、企業のポテンシャルを適正に評価してほしいところです。なお、普段から身の丈に合った複数行との良好な取引をメインバンク・サブバンク等との間でしておく。それは、言わずもがなです。(譲渡価額の評価方法については次号以降で解説します)

3)そして、血縁者にも従業員にも後継者が不在のケース。この場合は、第三者に株式等を売却することになります。いわゆる、M&Aです。第三者といっても、高い金額を提示してくれれば誰でもよいわけではありません。ファンドに高く売ったのはいいけど、「こんなはずじゃなかった」という話がよくあり、枚挙に暇がありません。願わくば、現オーナーの事業に込めた想いを受け継いでくれるような第三者が望ましいです。そして、従業員を大事にしてくれて、顧客や飼い主さん・患者さん等に迷惑がかからないような経営をしてくれる方が望ましいです。そのうえで、少しでも高い金額で納得して買ってもらえればマッチベターです。買手に株式の評価価額を説明し、「なるほど」と腑に落ちるロジックになっていれば、WIN-WINの関係で事業承継を成就させることが出来ます。その秘訣は、地に足の着いた管理会計に基づいてデューデリ(評価)しているかどうかです。それによって、事業承継がスムーズに成就するのか・長引くのか。高く売れるのか・買い叩かれるのか。まさに、運命の分かれ道です。(譲渡価額の評価方法については次号以降で解説します)



以上、与件によって、ありうる承継パターンを整理してみました。どのケースであっても、初動を早くすることが望ましいです。それと同時に、どのケースであったとしても、譲渡価額が決まるまで、とにかく企業価値を高め続け、少しでもよい条件で事業承継できるように企業努力を継続することです。(永遠の課題です)

ちなみに、あまりにも決算書の内容が芳しくなかったり、事業規模が小さすぎる場合は、どんなに背伸びしてもマッチングしませんので、自然廃業もやむなしといったところでしょう。(だからこそ、業績アップへの企業努力は永遠の課題です)

中小企業は、事業承継というバトンタッチを上手にすれば、100年繁盛することが可能です。
バトンタッチの好例は、駅伝。どんなに速いエースランナーでも、2区間走ったら、チームの足を引っ張り、負けてしまいますので、然るべき中継所で確実に襷(たすき)を繋ぎます。経営も同じです。優秀な経営者は、事業計画を構築し、適切なタイミングでバトンタッチをします。1社でも多くの企業がその構想を上手に練れば、業界の裾野はもっともっと広がります。

あなたの会社が100年続きますように・・・
そして、
トリミング業界と動物病院業界がますます繁盛しますように・・・


【まとめ】
・どんなに優秀な経営者でも、いつかリタイアするときがくる。
・事業承継は早い時期から検討しておくことが肝要。
・事業承継は与件によって、色々なケースがある。
 1)血縁者にバトンタッチをするか
 2)右腕の幹部にMBO(従業員への承継)をするか 
 3)第三者にM&A(売却)をするか
・いずれのケースも、とにかく企業価値を高めておくのが賢明。
・中小企業は、事業承継次第で、100年繁盛することが可能。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
株式会社フクノカミ Fukunokami Consulting Inc.
〜 中小企業が100年繁盛するために 〜
オフィシャルサイト https://fmcf.co.jp

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著者紹介
株式会社フクノカミ
代表取締役 金子男也

経営コンサルタント
1967年生まれ。静岡県出身。関西在住。

世界で初めて株式上場した国内最大級のコンサルティング会社にて、 動物病院やトリミングサロンなどのペット関連事業に専門特化して 20年以上勤務し、円満退社。 その後、株式会社フクノカミを創業。 動物病院やトリミングサロンなどの中小企業が 100年繁盛する仕組みづくりのサポートを展開中。 マーケティング、マネジメントから事業承継まで、 一気通貫で中小企業の経営課題に対応。

公式HP :https://fmcf.co.jp/

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