
「動物病院 &トリミングサロン向け ハッピー経営のための応援ブログ」
投稿日時 : 2026-09-04 12:26:11 (45 ヒット)

どんな職業にも、生産性や競争力といった概念がついて回ります。トリマー、ビジネスパーソン、アスリートなど、職業人はそのパフォーマンスで評価されます。
サッカーの元日本代表で、現在シンガポール・プレミアリーグのFCジュロンに所属する本田圭佑氏が、サイバーエージェント代表取締役会長・藤田晋氏との対談で、「マジで労働基準法は腐ってると思う」と語ったと報じられました。
過激な物言いではありますが、その背景には次のような客観的データがあります。
スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)は2026年6月18日、世界競争力ランキングを発表しました。上位は1位シンガポール、2位香港、3位スイスで、いずれも従業員の解雇が比較的柔軟に認められている国・地域です。プロスポーツ選手のように「いつ戦力外通告を受けてもおかしくない」という緊張感のある環境が、結果として生産性や競争力の高さにつながっている――そう読み取ることもできます。
では、日本はどうか。かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された日本ですが、直近は30位。前年の35位からは改善したものの、長らく30位台で低迷しているのが実情です。
要因はさまざまですが、その一つに「一度採用すると、どれほど成果の乏しい社員でも簡単には解雇できない」という日本の雇用慣行が挙げられます。
いつ戦力外を告げられるか分からない立場に置かれた人は、自ずと自己研鑽に励み、競争環境に適応しながらキャリアを磨いていきます。本田氏の発言は、まさにそうした世界で生き抜いてきた(生きている)人間だからこその警鐘なのでしょう。
労働基準法に守られ、ハードワークすれば「ブラック企業」と揶揄され、互いに空気を読み合い、生産性の低さから目をそらし続ける。それでは日本の競争力は下がる一方です。ぬるま湯に浸かり、ゆで蛙のように気づかぬうちに骨抜きにされれば、やがてワーキングプアに陥り、幸福からも遠ざかってしまう。本田氏の主張には、それなりの一理があると思います。
一方で、ストイックな働き方を避け、仕事もほどほどに、快楽を優先して生きるのも個人の自由です。ただし、自由と責任はワンセットです。
童話「アリとキリギリス」で、飢えと寒さを訴えるキリギリスをアリは助けません。「君は夏のあいだ遊んでばかりいたじゃないか」という理屈は、まさに自己責任論そのものです。勤勉さや自制を欠いた者は自らその結果を引き受けるほかない――冷徹ではありますが、これも社会の一面の真理でしょう。キリギリスは退場である。
労働基準法の保護があるとはいえ、日本でもリストラを進める企業はじわじわと増えています。東京商工リサーチの調査によると、2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)。募集人数は2万781人で、前年度(8,326人)の約2.5倍に急増しました。しかも、その約7割は黒字企業です。黒字でも人員整理に踏み切るのは、資力・体力のあるうちに組織を再構築しておこうという、いわば「攻めのリストラ」に他なりません。
では、トリミングサロンや動物病院の経営者は、どう考えればよいのでしょうか。
結論から言えば、生産性の高い人材を集め、育て、定着させ、組織としての競争力を高めていくことに尽きます。「仕組み」で人を育て、生産性を上げるべきことは、過去の記事でも繰り返しお伝えしてきました。
それらに取り組み、経営者としてどんなスタッフにも寄り添って育成をサポートするのが大前提です。しかし、それでも埒が明かないキリギリス型スタッフの場合、その人が活躍できる職業や職場は他にあるだろうと判断し、最終的には然るべき方法で退いてもらうのも合理的な判断です。どんな会社も、大手企業のような攻めのリストラができるわけではありませんが、事業は慈善事業ではありません。生産性の上がらないスタッフを抱え続けるにも、限界があるのです。
人員が減れば一時的に手が足りなくなるかもしれませんが、トリミングに応召義務はありませんから、キャパシティを超える予約は交通整理すればよいでしょう。そして生産性の高いスタッフを補充できてから、時間管理を徹底しつつ(チッピング等に時間を要さない技術を活用しながら)、受入れ頭数を段階的に増やしていく。こうして「アリ型」の勤勉なスタッフを厚遇し、信賞必罰を貫くことで、事業は着実に成長し、業界全体の産業化も前に進みます。
もっとも、効率と生産性だけを過剰に追い求めると、ミヒャエル・エンデの『モモ』が描いたように、時間泥棒に急き立てられ、心のゆとりを失った職場になってしまい、いずれ人も組織もすり減らせてしまいます。アリのように勤勉であれ――しかし、ゆとりある時間の使い方まで手放してはいけない。ここに、経営の匙加減の難しさがあります。
一般的なトリマーの生産性を100とすると、繁忙期の年末等は100を超えるかもしれませんが、閑散期の2月等は100を下回り、サロン全体の生産性が年間を通して100近くであればOKです。年間を通して130をやれというのは事故や離職リスクの面で危険でしょう。しかし、継続的に65程度しかやらないというのは、単なるサボタージュです。
「アリのように勤勉であれ――しかし、ゆとりある時間の使い方まで手放してはいけない。」というのは、施術時間を効率化しつつ、浮いた時間で接遇やチームワークを強化することだったりします。
ちなみに、生産性の目安を100とするのか、90でよいのか、110必要なのかは、そのサロンによります。経営者が自由に決められます。
とはいえ、「人情として、そこまでドライな経営はできない」という経営者もいらっしゃるでしょう。キリギリス型のスタッフに手を差し伸べること自体は、もちろん自由です。ただしその場合、事業を継続できるだけの体力が前提になります。現預金残高は月商の何か月分ありますか。夏・冬の賞与を、スタッフにきちんと支給できていますか。経営はきれいごとだけでは成り立ちません。ここを取り違えないことが肝要です。キリギリスに手を差し伸べる余裕があるのなら、まずはアリをさらに優遇する。それこそが信賞必罰の経営です。
最後に、経営の原理原則を整理しておきます。近江商人の「三方よし」に象徴されるように、顧客や社会への貢献は確かに重要です。ただし「三方よし」の順序は、(1)売り手よし、(2)買い手よし、(3)世間よし、です。まずは自社の経営をしっかり軌道に乗せ、余力が生まれてから、お客様(買い手)や業界(世間)のために尽力する。これこそが「三方よし」の正しい解釈であり、正しい経営のあり方なのです。
経営の原理原則を見失うことなく、タフで、クールで、そしてヒューマンタッチに繁盛を実現されますよう、心よりお祈り申し上げます。
あなたの会社が100年続きますように・・・
そして、
トリミング業界と動物病院業界がますます繁盛しますように・・・
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株式会社フクノカミ Fukunokami Consulting Inc.
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