僕がトリミング専門学校卒業してから間もなく30年。思えば長い年月だが、驚くことにその頃教わっていた実技授業と現在の内容がほとんど変わってないということだ。ある意味伝統的な重みがあるようだが、実は変化しようとしてないだけなのかもしれない。
今回のテーマは「耳毛抜き」
耳腔内に毛の生える犬種を当たり前のように抜いてきたことへの疑問だ。僕は特にシュナウザーの耳毛抜きが大好きで、しかもつるっつるに抜き去ることに快感を得ていたのだ。また以前はほとんどの獣医師も抜くのが当たり前で、生えていれば「トリマーに抜いてもらいなさい」と診断していた。しかし最近は少し違ってきていると感じている。知り合いの獣医の中には「なんで抜くの?じゃあ鼻毛も抜く派?」と真剣に聞き返されたこともあった。鼻毛と一緒なのか、、、痛いじゃん、、、腫れそうだし、、、
こんな話もある、、、。
●抜いた後の毛穴部を顕微鏡で覗くと出血したようになっている
●抜いた刺激と毛穴への細菌感染による外耳炎
●シュナウザーの耳毛を抜くと、太い毛は増えないが周りの白い毛は抜けば増える。
テリアのプラッキングと同じ理屈
●しっかり耳毛を抜いたテリア系雑種の子の2週間後に耳腔内を顕微鏡で覗くと、なんとそこには何らかの草の芽が生えていた。つまりフィルターが無くなり、種が耳腔内に侵入し発芽した様子
※つい先日、耳腔内のかなり奥から内視鏡カメラ付き鉗子で溜まった耳垢を取り除く映像を見た。
その耳垢はイヤーローションなどが固まってできたものという、、、
専門学校時代から耳毛を抜くのが当たり前で、その方法を習ったトリマー達が社会に排出される。また現状サロンのほとんどがコース料金に耳掃除があり、その中には耳毛抜きも当たり前のように行われている。
それは犬に対し、グルーミングを嫌いにさせ負担を掛けるばかりか、トリマーの生産性も下げる結果になることをあまり気付いてもらえていない。
【悪の連鎖】
犬は痛がる→抵抗→保定→時間経過→耳腔内炎症→外耳炎→通院→耳毛増量
→また抜かれる→グルーミング嫌い→抵抗→攻撃→口輪→保定→時間経過・・・
※今回は「耳毛抜き」ですが、他にも「これでいいの?」と思われることがまだまだありますよね?トリマー、看護師、トレーナー、獣医師、教師etc、、、日本の犬達のために、そしてペット業界のために、関わるすべての人達で問題に気付き、一緒に見直ししませんか?
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