第6回 インターシップの“肝”



夏休みと言えば、インターンシップです。インターンシップ(職業体験あるいは現場実習)を専門学校の体験入学感覚で、志望先を絞り込むのが目的などと、のんきなことを言っていては困ります。なぜなら、事実上の選考の場であるからです。

インターンシップの期間は、受け入れ側の事情により異なると思いますが、最低でも1週間、できれば1ヶ月はしていただきたいと思います。それ以上長期化する場合は、研修という名目の“ただ働き”にならないためにも、予め期限を設けられたほうが良いと思います。


次に取り組む姿勢です。社員なり店長が、手とり足とりつきっきりで教えてくれるということはありえませんし、だからといって、お客様の犬のカットまでは研修生にさせないでしょうから、下準備とか掃除、洗濯、かたづけというのが主な仕事になってきます。
学校では、プロトリマー気分で1頭を仕上げているあなたも、研修生ということになると、シザーどころか犬にすら触ることがないという現実に直面して、やる気がなくなることもあるかもしれませんが、そういう些細なことほど手を抜かない姿勢が大事です。
がっかりすることはありません。研修生として、現場に入り込める機会を得るということは、プロトリマーが本気のカットをしている姿を盗めるチャンスなわけですから、これほど勉強になる期間はありません。トリマーとしての技術を向上させるために、できるトリマーを徹底的に見て真似て欲しいと思います。これは入社後もそうですし、仕事をしていく上での基本的な姿勢につながるのではないでしょうか。

それから疑問に思ったことは何気なく聞いてみたらいかがでしょうか。インターンシップは、それが許される唯一の機会です。そして、こういった姿勢自体が、あなた自身のアピールになります。さらに、研修期間終了が近づいたら、そこまでがんばろうと考えるのではなく、もう1週間継続させてくださいと申し出ましょう。ここが第一志望、ここで働きたいとおっしゃるのであれば、なんとなく研修期間が終了してよいはずがありませんよね。インターンシップは、終わり方、終わらせ方が肝心なのです。

冒頭で、インターンシップは事実上の選考の場と申し上げました。そういう意識でいないと大勢の研修生のなかでは埋没してしまいますよ、という意味です。企業によっては、インターンシップのあとにエントリーをさせるところもありますが、決して研修時の態度や姿勢が白紙になることはないと思います。それどころか、選考上、大きな意味をもつはずです。

研修時の評価は、当然ながら、店舗スタッフの意見が反映されています。つまり、研修中にスタッフと良好な人間関係を作れたかどうかが問われるわけで、くれぐれも店長にだけ媚を売るような態度は禁物です。少々技術が足りなくても、私たちが教えれば必ず伸びる、と先輩たちが後押ししてくれれば、あなたは内定以上のものを獲得したと思って自信を深めてください。

著者プロフィール 飯田 一成 kazushige iida
キャリアコンサルタント。1956年生まれ。神奈川県出身。トリミングスクールの就職部長とペット企業の採用担当ディレクターの経験を生かして、動物系専門学校・ペットスクール等の就職セミナー講師、学生募集のコンサルティングを中心に活動中。
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