第8回 面接のマナー(前半)




「マナーが人柄をつくり、人柄がマナーをつくる」と言われます。面接におけるマナーの重要性は、能力の高さを感じさせるコミュニケーション・スキルとともに、あらためて力説するまでもありませんが、それらはその道の専門家によるマニュアルのような本がたくさんありますから、必要だと思われる方は読んでいただくとして、私は、面接(具体的には部屋に入室するところまで)の場面を想定しながら、心のありようについて、2回に分けて書きたいと思います。




前号では、アポイントをとる段階から面接は始まっていると言うことを申し上げました。どうも面接とは、面接会場内の問答を指すものと理解されている方が多いようですが、その方の人柄が垣間見られるのは、なにも面接本番のみではないことを申し上げたかったのです。

例えば、「アポイントは要領よく簡潔に」というのが鉄則ですが、それ以前に、電話をされる時間帯に気配りをされていますか。また、面接日や持参書類などは必ず復唱されているでしょうか。こういうところからも、その方の人柄が透けて見えるものです。

ある本には、電話をかけたほうが先に受話器を置くと書いてありますが、応募先に電話をして、ご自分の言いたいことだけを一方的に話してから電話を切ったら、相手はどのように思うか想像してみてください。多分、気持ちよくはないですよね。この事例のように、あなたは自身の行動や発言によって、刻々と変わる相手の心理に関心をもつべきではないでしょうか。

マナーとは、相手に対する尊敬と感謝の念があってこそ行動に現れるわけで、“型”から入るマニュアルとは、そもそも次元が異なると私は思いますが、いかがでしょうか。それはそれとして、面接の現場をシミュレーションしながら、心の準備をしてみましょう。

《受付~控え室》

 まず、時間厳守は当然ですが、あまり早く着くのもよくありません。だいたい指定された時間の10~15分前が良いと思います。

 受付では、きちんと挨拶し、「本日○時に面接を受けさせていただくことになっております△△と申します。」と名乗ってから、案内された控え室(直接面接会場ということもあります)に行きます。履歴書を持参した場合は、ここで提出する必要はありません。

その間、あまりきょろきょろするのは良くありませんが、その会社(店)の良いところを1つでも発見するくらいの気合があったらいいですね。不思議なもので、自分が前向きで熱意を持って周囲を見回すと良いところが目につきますが、反対に後ろ向きで、否定的な気持ちでいると、悪いところばかり目に付くものです。どういう姿勢で面接に臨むのか、これもマナーです。

 名前を呼ばれたら面接会場に入室します。ドアをノックして、「どうぞ」と言われてから入室します。さあ、あなたの想いを込めた第一声が響きます。
今号はここまで、後半(次号)に続きます。

著者プロフィール 飯田 一成 kazushige iida
キャリアコンサルタント。1956年生まれ。神奈川県出身。トリミングスクールの就職部長とペット企業の採用担当ディレクターの経験を生かして、動物系専門学校・ペットスクール等の就職セミナー講師、学生募集のコンサルティングを中心に活動中。
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