■トリマーの収入


一番気になる「収入」ですが・・病院もショップも残念ながら高額は望めません。
賃金体系はお店によってさまざまです。ほとんど「月給」での支払いとなりますが、平均すると初任給で13?15万程度です。最初から20万近くに設定されているところもあります。もちろんこの金額は職場の労働日時数や地域によって前後します。試用期間として短期間はアルバイト扱いや「時給」扱いになったりするところもあります。中には「試用期間」を理由に法で定められた最低賃金を下回るようなところもあるようです。
その他、指名料や色々な手当て、もちろん保険など差し引かれる分も換算すると実際に手にする給料は、提示された金額から変わってくる場合があります。この各種手当・社会保障・税金も職場によってバラバラです。

「13?15万」という数字は世間的に見たら安く感じます。一般的なサラリーマンやOLの同年代と比べるといかにトリマーの給料が安いか分かります。これは、経営者がコスト削減として人件費を詰めいてる場合もありますが、根本的な考え方として「トリミングの技術がないのだから最初は安くて当然だ」という考えからきています。トリミング技術が無いということは「仕事ができない」という事ですから、まだ頭数をこなせない新卒者の給料が安いのは仕方がないと思います。問題なのは就職後の給料がどのように推移していくか・・です。

時給や日給などの固定給は、どれだけ頑張っても支払額が一定なので下記の「歩合制」に比べて仕事に対するモチベーションが下がりがちですし、技術の向上に対して固定額が反映され難いところがあります。しかし、職場によっては技術に応じて報酬を定期的に査定し、技術力に応じて固定額も比例するような職場もあります。

「歩合制」は売上高・契約高などに応じて賃金が支払われる制度のことですが、低めに設定された基本料金に+αあるいは、カット料金の○%が手取りの給料になったりとお店によって異なります。
この制度を取り入れているショップは増えてはいるようですが、日本ではまだ少ないです。(ちなみにアメリカのペット美容業界では一般的ですし、人間の美容業界もほとんど歩合制です)

技術職である以上、やはり「技術の競争」によってトリマー自身のスキルも常に向上していく必要があり、経営サイドもそれに見合った報酬を支払う・・というこのシステムは理想の型だと思いますし、どんどん広がって欲しいと思います。
しかしある程度の頭数を確保できるような職場なら働くトリマーにとっては有利ですし、仕事に対する士気が高い職場が生まれるのという意味では経営者にもメリットがありますが、頭数を確保できないようなショップでは収入が逆に減ってしまう事があるし、システム的に月によって支払われる額も不安定ですから、実際問題として固定制→歩合制へシフトチェンジするには難しい一面もあるようです。

13?15万という金額では生きていくだけでやっとです。それゆえに給料面の問題でこの業界を去る人はとても多いのが現実です。今までは「トリマーは給料が安い」という考え方が強制されていたように思います。ちょっと前までは給料が10万以下という場合もよくありました。これはペット美容業界にとっても良くありません。「トリマー」という地位の向上を目指すうえでも、経営者は当然ですが、皆さんのような「雇われる側のトリマー」も意識改革に努めていかなければなりません。

先にも述べましたが、新卒者で給料が安いのは仕方ありません。しかし経験を積んでも自分の技量に見合った報酬が支払われていないと思ったら、経営者と交渉するのも手かもしれません。主張が通るか通らないかは別として、技術も経験も優れた「実績」と、トリマーという職業に対しての「プロ意識」があれば当然の主張と言えます。また最低賃金を守らないような悪質な経営形態は、ペット美容業界にも悪影響を与えますし、当然社会からから淘汰されていくべき行為ですからいかなる理由も正当化されません。もしそのようなケースに遭遇したら最寄の労働局や労働基準監督署へ相談されると良いでしょう。

少々ネガティブな話になりましたが、こういう考え方もあります。
生きていく上でお金は必要です。しかしあなたがトリマーを目指そうと思ったキッカケは「お金儲け」ではなかったと思います。「大好きな犬(動物)と一緒に仕事がしたい」「愛犬を綺麗にしてくれるトリマーさんに憧れて・・」というような「生きていくために働いてお金を稼ぐ」という目的以外の何かがあったはずです。もしその「何か」を「夢」という言葉に置き換えるならば、その夢を実現したことによって支払う代償は大きいかもしれません。ですが、それと同時に「お金には変えられない、トリマーしか得ることができない対価」が必ず返ってくるはずです。

以下製作中